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執筆者の写真Kei Tomoda

【コラム】地方のビジネス成長におけるヨソモノの上手な使い方

3年半の任期満了に伴い、七尾ローカルベンチャーの仕事は終了したが、その後もそのまま大阪と七尾での二拠点居住を続けている。


2020年には、能登の同世代の友人と能登DMC合同会社を立ち上げた。

七尾だけでなく、能登全体に観光業を中心にアップデートしていく事業だ。


また2021年には、地域の事業承継の受け皿となる株式会社ノトツグを設立。

この会社では、我々自身がプレイヤーとして能登の持続可能性を高めるために必要な事業を買い取り、次世代に繋いでいく。



主語は誰か?


「友田さんって、ビジネスの種を見つけるのが上手いですね」 「地方で新規事業ってどうやって立ち上げるんですか?」

ありがたいことに、近年こういう声をかけていただくことが増えた。


結論から言うと、私がビジネスの種を見つけてくるのではない。


12年近く地方創生に携わり、様々な地方のビジネスを見てきたという自負はあるものの、ビジネスの種を見つけるのは私ではない。


私の経験ではいつも、芽を出したそうにしているビジネスの種が既にそこに“あった”のである。

私の仕事は、その種に水を与え、耕し、実らせるための方法を提示し、伴走すること。


つまり、私がやるのでもない。

誰がやりたいのか。

誰がやるのか。


もし私がメインプレーヤーとなっていたら、これまで関わってきたどの案件も上手くいかなかったのかも知れない。



「困りごと」にヒントがあり、「もったいない」に可能性がある


ビジネスの種を見つける、というより、気づくと言った方が、近い感覚なのである。

地域の人との普段の会話から見えてくることがある。


✓そこにいる人たちが困っていること

✓そこにいる人たちがやりたいけど、できていないこと


これらの「課題」に、ビジネスの種が埋もれていることが多いのである。

そして、その種がどうすれば花を咲かせ、実を付けられるのかを考えるのが私の仕事である。

言わずもがな、種とは、可能性であり価値。


そこにいる人たちが「やりたくても出来ない」「わかっているけど出来ていない」ケースの中で、「もったいないな」「可能性があるのにな」と感じるものであれば、きっとその種から出た芽は大きく育つはず。


もったいないなと感じるのは、以下のどれか、あるいは複数で躓いている場合である。


①理想を描けるか(理想像が見えるか)

②現状から理想に向かうプロセスを描けるか

③プロセスを歩む実行ができるか


①と②さえ出来れば、あとは実行だけなので可能性しかないと思っているが、理想やそこに至るプロセスを描けない人/事業者も少なくないので、そこの支援からはじめることもある。


③について、実行が出来ないケースは、基本的にヒト・モノ・カネ・勇気のどれかあるいは複数が欠けている場合があるので、そこを補うことが私の役割になる。




可能性(もったいない)を、見つけて、つなげて、仕掛ける


ひとつの事例として、和倉温泉の旅館でワーケーションを企画し、軌道に乗せた取り組みが挙げられる。  


■見つける

石川県七尾市にある和倉温泉ホテル海望では、将来の経営を担う新しい世代が、旅館の新しいあり方を考えていた。

しかし、高齢化する人材を抱え、これまで伝統と格式を追い求めてきた旅館では、新たなチャレンジには社内から向かい風も強く、古い旅館からの脱却が困難となっていた。


また和倉温泉全体としても旅館協同組合や観光協会では、足並みを揃えて、新しい取り組みを仕掛けることは、時間が掛かることであり、なかなか難しい現状があった。


■つなげる

そこで、七尾市と商工会議所、第三セクターのまちづくり会社のコンソーシアムを形成し、能登七尾サスティナブルツーリズム推進協議会を立ち上げた。


■仕掛ける

「ワーケーション」という新しい旅の形を企画を実施し、今ではANAとタッグを組んだ『ホテル海望 ANAワーケーション』というプランが出来ている。


今では、ホテル海望だけでなく、和倉温泉の複数の旅館で、ワーケーションプランを販売している。



こういった取り組みを更に広げていくために、能登DMC合同会社を友人たちと立ち上げた。





ヨソ者の効果的な使い方とその見極め方


地域が活用するヨソモノのよくある例として、コンサルタントや広告代理店、シンクタンクによるアイデア提案や計画策定などがある。


企業でも同様の使い方をする場合が多い。

しかし、いいアイディアや計画であっても、実行されないし、実行できないことがほとんどである。


その要因は、地域側(企業側)にその計画の実行者となるプレイヤーの数が不足している、もしくは、プレイヤーがいたとしても知識や経験が不足している

この二つである。


ヨソモノの上手な使い方


そのようなケースに陥らないため、上手なヨソモノの使い方として、大きく2つのポイントがある。


①ヨソモノが、地域(企業)のプロジェクト実行に際して伴走してくれるか?

→上記の2要因に述べた、プレイヤーの知識・経験不足を補う役割として、ヨソモノが伴走者となり、プロジェクトの推進をサポートするケースが近年増えている。


②ヨソモノ自身もまた、地域(企業)のプレイヤーとなってくれるか?

→そもそもプレイヤーの数が足りていない地域や地方の企業において、ヨソモノ自身が実行者となり、責任の一端を担えるか。


地域や地方の企業との関わり方の選択肢として、兼業副業人材の活用もかなり増えているが、上記の2点を担える人であるかどうかを、しっかりとチェックしてもらいたい。


ヨソモノの見極め方


伴走者には、俯瞰力、調整力、聞く力、粘り強さ、しなやかさなどが求められる。

プレイヤーには、勇気、巻き込み力、なんとか形にする力などが求められる。


ヨソモノが、伴走者かプレイヤー、もしくはその両方になれるか?


これまでも述べてきたように、ビジネスの種は、すでに皆さんの地域に転がっている。

それに気づき、地域の人と共に育て、伸ばすことのできるヨソモノとの出会いが、ビジネスを成長させてくれるはずだ。


 

みなさんの地域に「やりたくても出来ないこと」があるならば、ぜひビズデザイン大阪までお気軽にご相談下さい。 そのビジネスの種を共に育て伸ばす、伴走者&プレイヤーとして、サポート致します。 ▼株式会社ビズデザイン大阪 お問合せはこちらから



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