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執筆者の写真Kei Tomoda

【コラム】完全アウェーをホームに変えるコミュニケーション術

スポーツの世界でいう「ホーム&アウェー」を用いて、ビジネスの世界でも使われることがある。

【ホーム&アウェー】 意味や解説、類語。サッカー・野球などで、対戦するチームがそれぞれの本拠地と相手の本拠地で試合を行う形式

スポーツでもビジネスでも、アウェーでの戦いは実力を発揮しづらく苦しいものだ。

コンサルタントという職業は、アウェー戦が基本。 事業再生のコンサルティング会社ではまさにそれ。

例えば、債権者の金融機関から相談があり、債権回収のために立て直したい・見直したい企業に我々がコンサルタントとして現場へ送り込まれる。


経営上の課題を明らかにし、いかに短時間で戦略を考え、解決するために必要があれば、痛みの伴う改善策を迫るわずらわしい存在がコンサルタントである。 歓迎ムードで迎えられる例はごくわずか。

通常は止む無く・渋々といった雰囲気で迎え入れられる場合がほとんどだ。 もしくはある一部の人間には歓迎されても、社内の大半には煙たがられていると思っていい。

私は、人を惹きつけるカリスマ性があるとか、何もしなくても人に好かれるとか、好感度が高いとか、特別なコミュニケーションスキルを持ち合わせているとかいうわけではない。 それでも、14年間コンサルタントを続けてきて、心がけていることや大切にしている考え方がある。



否定しない

これが一番大事。


明らかに時代遅れだったり、ここがおかしいという点があったとしても、大抵の場合は多くの人もその違和感に気付いている。


にもかかわらず、変わらない変えられないのは、現場が決められないからだ。

モノを言う雰囲気ではないのか、権限がないからか・・・ つまり、支援が必要で大変な会社ほど風通しが悪いという実感がある。

そして、本人たちもそうなりたくてそうなったのではない。


会社の状況よりも、個人の気持ちを思いやる姿勢を持つ。


正しさより1ミリでも前に進ことを考える


誰しも経験があるのではないだろうか。 正論を振りかざしても前には進めない、ということ。 誰しも状況を悪くしたいと思っているわけではない。

人を、会社を、過去をなるべく否定しない。 ここが悪い、こうするべきと言い放つのではなく、こういうアプローチが必要ですよね、と前へ進むための事実を伝えるようにする。



人を動かしているものを探る


ボトルネック(=弱点)がどこにあるか。

つまり、「どこを動かせば上手く回るようになるのか」。 ボトルネックが業務全体のパフォーマンスを左右し、業務全体の流れを止めている制約になっているわけで、ボトルネックを速やかに改善することが、全体の改善の近道だと言うこと。


制約があるところにこそ、大きな改善の可能性があるのだ。


ボトルネックは時に論理的な要因であるが、時に感情に起因する場合もある。


論理的な要因の例としては、企業文化や属人化、仕組み、工程…どこで滞っているのかを探り、その原因とどうすれば改善できるかを分析しなくてはならない。 一方で、感情的な要因がボトルネックとなっている場合。 特に年数や経験を重ねた組織の人々が抱える感情は複雑だ。 可視化することが難しく、見えないところでどんどん膨らんでゆく。 現場にどういう感情が存在し、その結果どういう状態にあるのか、分からない。 目に見えないだけに、その取り扱いにはどうしても手間と時間を要する。


この場合、起点となるのがキーパーソンとなっている人物の存在だ。



誰を外したらダメなのか


色んな人から話を聞いていると、徐々に人間模様が見えてくる。


✓ この人の名前がよく出てくるな ✓ ○○に気を遣っているな ✓ この話は嫌がるな


個人的に話を聞くと、見えてくることが多い。


地方創生の仕事で、地方へ行くと特にこういった人間関係を飛ばすと痛い目を見る。

些細なことに思えるかもしれないが、基本的なことを誠実にこなすのが大事だ。


・挨拶にいく

・出来るだけ丁寧に報告する

・情報を入れておく

・外部の人間は黒子の立場に徹する


特に田舎のコミュニティでは、「そのことを聞いているか、聞いていないか」で、その後のスムーズさが断然変わってくる。


誰がキーパーソンになるか、を探るのは自然と身に付いた。

何よりも外部から来た人間が信頼関係を構築するには、まずは人ありきだと思う。



大怪我をしなければOK


大きな物体を動かそうと思ったとき、どうするだろうか? 大きな力で、勢いで動かそうとすると、その反動は大きいのが分かるだろう。

そうすれば、大怪我をする可能性もある。

大怪我をすれば、取り返しのつかないことや、それを取り戻す時間も多くかかる。

反対にその物体を小さく揺らしながら、ずらしながら動かしていくのが一番負担と労力が小さく済む。

同じように、物事を動かすことは、少しずつ横にズラしていくこと。 小さな揺らぎを少しずつ与えて、細かくスライドさせていくと、スピードは期待できないかもしれないが、一番リスクなく最終的に目的地にたどり着けると感じている。


完全アウェーをホームに変えるコミュニケーション術まとめ

何だ、当たり前じゃん!と思われるようなごくごく普通のことばかりだが、そんな当たり前のことをコツコツ丁寧に続けていると、いつの間にか外部の人間から内部の人間として認められるようになる。 私自身のリアルな体験談だ。

<おまけ>アウェーで戦う人は成長する!

脳科学的に見た時に、アウェー戦をしている人たちの脳は、いつもホームで仕事をしている人の脳より成長する。 なぜなら自分にとって不利な環境やお客さまと向き合い、「初めての経験」という刺激や負荷がかかった時、変化に対応する機能が研ぎ澄まされ、脳は今までにない成長をする。

つまり、アウェー戦は自分の成長を促すという意味で絶好のチャンスになりうる。

サッカーの日本代表戦でも、ホームとアウェーで戦うのは、チーム強化では全然違うと言われていることからもよくわかる。

この変化の激しい、先の読めない時代だからこそ、いつもとは違う環境で仕事することが、重要である。 アウェーのいつもとは違う環境が、自身の環境変化に順応する能力を高めてくれる。

アウェーに飛び込むことこそ、今の時代に最も必要な行動ではないかと感じる。 ぜひ思い切って、ダイブしてもらいたい。

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