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執筆者の写真Kei Tomoda

【コラム】社内ベンチャーはなぜ成功しないのか

大企業において「社内ベンチャー(=社内起業)」が推奨されている。

経営陣がトップダウンで考え、アイデアを出し、実行していくというこれまでのやり方では限界に来ているということだ。 激しく変化する世の中で、人々の価値観も大きく変わり続けている。 特に内需は人口減少により、企業は既存事業を継続するだけでは利益を上げられない、成長が期待できないという背景がある。


そこで、新ビジネスを公募したり、新しい部署の設立、他者とのコラボや社内ベンチャーの立ち上げが盛んになってきている。 だが、こういった新しいものを取り入れようとする動きの中で、実際の成功している事例はごくわずかと言える。




その原因の一つに、その社内起業を進めるにあたっての意思決定が、既存の権限分掌によって行われることが挙げられる。 大企業であるほど、成長を続けてきた優良で強い本業がある。 その本業が強ければ強いほど、長きに渡って持続している事業であればこそ、組織の人間、参画者の全員が、本業の組織・本業の人材に染まり過ぎている。 また本業との相乗効果を狙ったものであったり、本業のサポート的な役割を期待するという本業ありきの枠組みの中に囚われがちなってしまいがちだ。 本人たちにその意識がない、といっても、その企業の土壌や風土の中で生きてきた「当たり前」が存在するのは当然だ。 だから社内ベンチャーのもたらす新しい風に、無意識に違和感を感じてしまう。 特にサラリーマンから経営陣に入っている叩き上げのサラリーマン社長の会社に多い。


つまり、経営陣のお眼鏡にかなうようなモノは、既存の価値観の中にあるものでしかない。 逆に、全員がそれはいいというようなものは、本業内での調和が働いているので、たいてい面白味のないモノになる。 その企業のこれまでを築いてきた経営陣にとっての”心地よいもの”を作っても、それは20年後の未来を見据えた事業ではない。 ▼参考記事 【コラム】いま我が子に伝えたいこれからのキャリア論



ダブルバインドという言葉をご存知だろうか。

ダブルバインドとは、 双方の相反するメッセージを同時に出す、というもので 相手を混乱させ信頼関係を失わせる危険なものである。

チャレンジしろ、と言いながら 新しいことが認められない 自分の頭で考えろ、と言いながら 前もって相談しろ、と言う 自由な意思決定ができず、 自由な発想が認めらえず、 モチベーションが下がり、 主体性がなくなっていく これでは、イノベーションなど起こるはずもない。



社内ベンチャーの立ち上げには2パターンある。 経営者自身もしくは経営者から命じられて新規事業を立案していく「トップダウン型」と、事業のテーマを社内公募し、社内ベンチャーに興味のある社員がプランを提出する「ボトムアップ型」だ。 トップダウン型の場合は、意思決定が早い場合が多いが、ただ現場がついて行けないことも多い。


「本業≠社内ベンチャー」であって、新しいことへの挑戦にはスピード感が最重要と言える。


ボトムアップ型の場合に要注意なのは、意思決定も順番に上がっていくことだ。いくつもの会議を経て決定されるのでは、時間が掛かり過ぎ、アイディアも尖ったものから丸みを帯びているものも多く、その瞬間そのビジネスのチャンスは去ってしまっているだろう。


この変化の激しい世の中で、PCDAはもう古い。これからはDAPPEで、ぐんぐんビジネスを進めることが求められる。 その時その場の意思決定で、最前線の人間が、どんどん動いていくべきである。



社内ベンチャーを成功させたければ、 勇気を持って既存の意思決定とは切り離すべきだと述べた。 今の状況を変えたい、変化を起こしたいと本気で考えているならば、 今の心地の良い状態を壊すくらいの覚悟が必要だ。


今上手くいっていること、調和が生まれていることは、まさに今にフィットしたものであって、20年後30年後を見据えたものではない。 短期目線でしかない決定では、変化の時代にハマるものは生まれない。



社内ベンチャーを成功につなげるためには

近年では社内ベンチャーを推進する上で、外注するケースも増えているようだ。

既存事業のやり方に囚われず、新しいビジネスモデルを創り出すためには、新しい視点や違う価値観の流入があるといい。


新しいものを創り出すのだという強いメッセージを共有し、これまでの事業では感じなかった違和感やリスクを、覚悟を以て受け入れる覚悟をもって挑んでほしい。 これまでにはない違和感や困難が大きな波となって押し寄せてくるだろう。 そういった荒波を乗り越えた先にこそ、社内ベンチャーがもたらすイノベーションがある。

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