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執筆者の写真Kei Tomoda

ニューロダイバーシティに注目することでうまれる新しい可能性


「ニューロダイバーシティ」という言葉をご存知だろうか?

欧米の産業界ではかなり浸透しつつある概念ですが、日本では2022年に経済産業省が取り組みを発表するなど、ようやく知られ始めたという状況かと思います。


経済産業省のHPによると(出典:ニューロダイバーシティの推進について

 

 ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでの様々な特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方であり、特に、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念でもあります。

 一定の配慮や支援を提供することで「発達障害のある方に、その特性を活かして自社の戦力となっていただく」ことを目的としたニューロダイバーシティへの取組みは、大いに注目すべき成長戦略として近年関心が高まっております。


と説明されています。


欧米では、ニューロダイバーシティの取り組みはITの分野で特に拡大しており、マイクロソフトやGoogleといった業界最大手でも、高い専門性や集中力をもつ高度人材として積極的に採用・育成され、活躍の機会が広がっています。


発達障害は表面的には認識されにくい障害である一方で、世間一般の「普通」を苦手とすることが多いために自他ともに評価が低くなりがちです。日本では、当事者の方たちの特性・得意が認められ、強みとして活かされるという機会は極めて限定的です。

ニューロダイバーシティという概念の登場によって、産業界における多様性の拡大と、ひとり一人がもつ個性が発揮されるような環境整備が進むことを期待します。



「できないこと」ではなく、個々の「できること」を活かす


ニューロダイバーシティの考え方において最も重要なのは、発達障害のある方への活躍の場の提供ではなく、障害者を支援が必要である人とひとくくりにするのではなく、ひとり一人の個性や強みに着目し、活かしていこうという発想の転換だと思います。


発達障害があるからIT分野で活躍できるだろうという安直な考え方ではなくて、社会のサポートや理解によって「障害」の程度や捉え方まで変わってくるという考え方が求められていると感じています。

むしろ、強弱や傾向はあるにしても、すべての人がもつ多様性の一部分であると。


ビジネスにおいては、障害や苦手をサポートすることを通して、社会の課題やニーズが見えてくる可能性もあると思います。

そして、サポートを得て活かされる特性や得意によって社会や経済に新しい価値がもたされ、互いの違いがより尊重されるようになれば、競争力のあるダイバーシティ社会に近づけると考えます。



均一性を求めない人材マネジメントの火付け役とされるデンマークの企業は、「タンポポの原則」を思想としているそうです。


「タンポポは均一な芝生の上では厄介な雑草、しかし、実は栄養、ヒーリングなどの効果があるハーブでもある。

タンポポを雑草とするかハーブとするかは、タンポポではなく、私たちの知識と理解次第である。」



障害を「ある」から「ない」に変える!オニオンキャメリゼの取り組み


15年以上前から、障害を「ある」から「ない」に変えるビジネスを展開しているプラスリジョンという会社があります。


同社は、淡路島で有機栽培された玉ねぎを、無塩、無添加、ノンオイルでじっくりとあめ色になるまで炒めた「オニオン・キャラメリゼ」という商品を開発しました。


全国のオーガニックレストランや宅配業者、百貨店などで販売され、料理のプロからも高い評価を受けた商品ですが、製造するのは障害のある人が通う福祉施設です。

そしてこの福祉施設は、障害のある人たちが障害なく働く環境を実現しました。


たとえば、玉ねぎ加工の現場では、作業を担う人たちの障害特性を分析して「合理的配慮」を施し、彼らが自立して働ける力を伸ばす環境を徹底的に整備したそうです。

「目で見て学び理解する」という特性に対しては「視覚表示物を掲示する」、「正確、確実に行う」という特性には「作業を細分化し、標準化する」という配慮です。

そうして作業現場における障害は取り払われ、働き手の強みをひきだすことに成功しました。


障害者が社会にあわせるのではなく、社会が障害者にあわせる努力をすることで、新しい働き方や価値観がうまれる。


障害者は福祉の分野で生かされることが前提とされてきましたが、「福祉領域」や「健常者」といった分類を再統合する方法もあるという大きな示唆を与えてくれます。



ビジネスと福祉の連携


ビズデザイン大阪でも、ビジネスと福祉を連携させる支援をしたことがあります。

本件は新聞の社会面で取り上げられました。


企業活動が経済面に載るのは当たり前のこと。

企業活動で社会面に載れば、新しい価値を提示できる。


法令に則って障害者雇用を進めるだけではなく、障害を乗り越える取り組みが必要だと実感しています。

違いがある人をメンバーに入れるだけではなく、違いを活かす取り組みをしているか。


厚生労働省が発表した「平成30年度障害者雇用実態調査」によると、障害者雇用の最大の課題として「会社内に適当な仕事があるか」が挙げられています。

雇用の促進には、労働条件や環境整備などが相談できる窓口の設置など、外部の支援機関の支援が必要だと書かれています。


「社会にある経験やリソースをつなぎ合わせて、新しい仕事を作っていく」


ニューロダイバーシティへの取り組みが始まったばかりの今、ご自身の会社でも「できること」に着目した新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?


 

弊社は、必要な資源・人材・組織を ❝見つけて❞ ❝つないで❞ ❝組み立てる❞ ために、

一緒に悩み、考え、行動し、チャレンジを支えます。


ぜひ、お気軽にご相談ください。



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